日独交流150周年 静岡・ブレーメン国際交流PROJECT

静岡・ブレーメンアートプロシェクト運営にあたってのお詫び

この度のプロジェクトのブレーメン側の責任者であります私、竹岡雄二(彫刻家,ブレーメン州立芸術大学教授)は、蜂谷充志氏(アーティスト、常葉学園大学造形学部准教授)との合同企画で、静岡とブレーメンの交流をコンセプトにプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトが今回思いもよらない東北大震災という大災害に遭遇したおり、私は事態を考慮した結果、すみやかにブレーメンのプロジェクトのメンバーをドイツに急遽帰国させる決定を致しました。ドイツ側の決定を通し日本側のプロジェクトメンバーの方々、そしてこのプロジェクトをご支援して戴きました皆様に、非常にご迷惑をおかけすることになりました事をこの場をお借りし、心からお詫び申し上げます。

このプロジェクトは、奇しくも日独交流150周年の節目と重り、ブレーメンと静岡地域にとっても記念すべき事業として開催することになっておりました。ブレーメンの次世代を担う若いアーティストと静岡にゆかりのあるアーティストがこの静岡で出会い、互いの想像力をぶつけ、刺激し合い、感性の違いや共通性を認識し合うことが出来る、作家にとって理想的な状況をあたえてもらえることになっておりました。静岡市内の文化財施設を含めた場所において、インスタレーションやパフォーマンス(現代美術の表現方法)など、作家たちと「場」との出会いが作家の滞在制作活動を通し作品化されること。空間や環境が展覧会場となることで、プロジェクトに関わる学生や一般市民との積極的な交流を実現し、互いの風土や文化への理解と興味を深めることになっていただけに、私を始め我々ブレーメンのメンバーはこのような事態になった事は大変残念でなりません。

また、このプロジェクトの展覧会と平行して計画されていたシンポジウムに、私がパネラーとして参加する予定も中止せざるを得ませんでした。このシンポジウムは、プロジェクトの総括や批評も含め、日本とドイツの芸術活動における差異と同一性の問題を喚起するという意味のものでありました。

芸術は社会にとって不可欠なものであり、社会の日常生活において、また精神的な人間社会の大きな付加価値をもたらす存在であります。ただ、今起ってしまったこの自然の大災害のおり、やはり芸術よりも生と死が左右している状況のなかで、このような選択を優先しなければならない時でありました。アーティストは当然アートを生き甲斐にしています。しかし、多くの人は違った観点でアートに接し、鑑賞し、所有する事を生き甲斐としています。私は日本とドイツの社会の中で微妙にこの辺の価値付けで相違があると思い、議論したく思っていたのですが、残念ながら今回はできませんでした。いつか機会があれば是非色々とお話ししたく思っております。

最後になりましたが、今回の東北地方での震災で被害に遭われた方、並びに亡くなられた方のご遺族そして行方不明者を抱える家族の方々へ謹んで哀悼の意を表します。何もなくなった無の状態から、また何かを生み出して行く。人は力強くて賢明です。阪神・淡路大震災の復興ぶりを思い出すとき、私は災害をお受けになった人々が、またあの美しい 郷土をすみやかに復興されると確信しております。

2011年3月21日
竹岡雄二